理学療法士のための患者様との接し方【5つのポイント】
患者様との接し方がいまいちよくわからないな。
どのような距離感で接すればいいんだろう?
年下の患者さんから、なめられたくないな…。
社長とかすごい人のリハビリは正直やりづらいな…
このような、接し方に迷いがあるあなたにお送りします。
理学療法士のための患者様との接し方【5つのポイント】
言葉遣い・距離感・会話の仕方に気をつけましょう。
これだけです。
多くの方が悩むコミュニケーション。
特に若いスタッフは、年上の方とどのように話をしていったら良いかわからないことが多いと思います。
核家族化が進んでいる現代だからこそ、年上の方と話す機会が少ないのではないでしょうか。
なんとか話ができても、ぎこちなくなってしまうなんて人も多いと思います。
そんな方に向けて、普段私が気をつけているポイントをまとめましたので、参考にしていただけると幸いです。
1.言葉遣いは基本的に敬語
当たり前ですが、言葉遣いは基本的に敬語です。
これは、年上の方に限らず、年下の方に対してもです。私は小学校高学年くらいから敬語を使い始めます。
一人の人間として、対等に接するイメージです。中学生の患者様では、絶対敬語を使います。
若い患者様でも、リハビリに向き合ってくれるようになる
敬語をしっかりと使っていくと、患者指導の時にもしっかりと話を聞いてくれることが多くなった印象があります。
医療従事者と患者の適切な距離感が生まれ、セラピストの言葉に権威性が生まれます。
そのため、リハビリにもちゃんと向き合ってくれるようになるのだろうと思います。
以前はタメ語を多用していた
以前は、中学生や大学生に対して、あえてタメ語で接していたことがありました。
タメ語で喋ることによって心理的な距離を近くし、早期に信頼関係を築こうとしていました。
でも、
裏を返せば自分の治療に自信がなかった。
コミュニケーションで信頼関係を作っていく方法しかなかった。
ということができます。
このような表面的な方法だけでは、患者さんがしっかりとリハビリに対して向き合ってくれない可能性も出てきます。
なので、しっかりと敬語を使って、良好な信頼関係を作ってください。
タメ語を使用するメリットも
例外的に小学生低学年〜中学年くらいまでは、反応を見ながらタメ語を使う事もあります。
その方が、安心感が生まれリハビリが円滑に進むからです。
タメ語を使いがちな認知症の方に対しても、絶対敬語です。
丁寧に接することによって、不穏も軽減できることがあります。
2.適切な距離感 【近すぎず、遠すぎず】
患者様との(心理的な)距離は、近くなりすぎてしまってはダメです。
あくまで関係性は、医療従事者と患者。
それ以上でもそれ以下でもありません。
距離感が近くなりすぎると、適切な判断が出来なくなることがあります。
なので、適切な距離感は大事だと思っています。
具体的には、
・後遺症が残る方で、リハビリ終了時期をいつにするか
・入院期間の延長を望んでいる患者様の退院する時期
・お年を召している方で、退院先が自宅になるのか施設になるのか
など。
このような場面で、患者様との心理的な距離が近かったら、適切な判断が難しくなってしまいます。
セラピスト側からバイアスをかけてしまうことになります。
これでは、ご家族も適切な判断ができなくなってしまいます。
また、トラブルの元にもなると思います。
日々の仕事で信頼関係を作っていく
とはいえ、信頼関係をしっかりと築く上では、それなりに距離感が近くなってしまうという意見もあると思います。
色々な話もするので介入初期よりは、心理的な距離が近くのは事実です。
これは、あくまで私の考えです。
信頼関係は色々な応対や、その場での対応、治療技術・治療効果で信頼関係を築いていくもの
と考えています。
適切な時期に適切な判断をして、最良な状態を作っていくことの支障にならないようにしていくことが大事だと考えています。
3.社長など重役の方のリハビリの場合
長く勤めていると、社長、市議会議員、大手企業の重役、校長先生など、一般的に凄い役職の方を担当する事があります。
特に知らない業界の方だと、どのようにコミュニケーションをとったら良いか、迷う事もありますよね。
特に若いスタッフであれば、いろいろな経験も少ないので、他の業界の話をされてもよくわからない場合が多いと思います。
また、重役というだけでビビってしまうものです。
でも大丈夫です。
・色々なことを教えてもらいましょう。
・相手は医療のことに関しては素人です。
①色々なことを教えてもらいましょう。
私たち医療業界の人間は、かなり狭い領域の知識を深く勉強しています。
なので、その他の業界のことは一切わからないと言っていいくらいです。
仕事の内容や、扱う道具、通勤時間や休憩中の過ごし方など、その業界では当たり前になっていることも私たちは知らない事が多いはずです。
ゴール設定にも役立ちますので、色々と聞いてしまいましょう。意外と楽しそうに教えてくれるものです。
②相手は医療の事は素人です。
私たちが医療業界以外の知識が少ないのと同様、他の業界の人も医療的な知識を持っている人は少ないです。
最近は、健康の情報を扱うテレビ番組や書籍が多くありますので、勉強されている方は医療的な情報を持っていることがあります。
しかし、一部の方だけですし、間違っている知識であることもあるため、相手の知識量などはそれほど気にする必要はありません。
私たちは日々行なっている業務を淡々と行うだけで、ほかの業界の方からすると、しっかりとしたリハスタッフとして目に映るものです。
4.話の腰を折らない
相手の話は途中でさえぎってはダメです。
患者さんは、自分の痛みのことや、
これからの生活で不安なことを訴えてくるわけです。
普段何気ない話をしているのとは違って、患者様は痛みや不安などネガティブな感情を持っています。
そのため、途中で話を遮ると、「この人は私の苦しみを理解してくれない」となってしまいやすく、信頼関係が築けない事になります。
先行投資として話をしっかり聞く
時間がなくてゆっくり話を聞けないという方もいるかもしれません。
でも、しっかり話を聞いて目標を明確にしないと、上手く治療も出来ないと思うので、先行投資だと思って、ある程度の時間はかけた方がいいと思います。
そうでないと、ゴールが定まっていないマラソン大会を走るようなものです。
5.自分の言いたいことだけを言わない
これも相手の話をよく聞くという部分に関連はしますが、治療や解剖のウンチクはいらないです。
いっぱい勉強している人ほど語りたくなるものですが、患者さんにはほぼメリットは無いからです。
そもそも内容が難し過ぎるため、理解出来るはずがありません。
私たちが学んでいる知識は、一般の方からするとマニアックな領域に当たると思っています。
知識の提供を行う場合は
とはいえ、患者指導の一環として知識の提供は必要という意見もあるがしれません。
もし、患者指導の一環として知識を提供するのであれば、
「必要な部分だけ」
「行動変容をして頂くのに必要な分だけ」
を、できるだけ噛み砕いて情報提供する。
これを意識してください。
自己満足のインフォームドコンセントは、正直時間の無駄です。
自分の時間だけでなく、患者さんの時間も奪ってしまいます。
私もまだまだですが、気をつけていきましょう。
6.まとめ
いかがだったでしょうか。
基本的な事だけど難しい。でもとっても大事な内容だったと思います。
知っているのと出来るのは違います。
明日からの臨床で少しずつ取り入れていき、信頼されるセラピストを目指してみて下さい。